会社を作ると、役所からの郵便が少しずつ届くようになります。封筒の差出人を見れば、どの手続きの書類かのおおよその見当がつきます。

この記事では、一人社長の会社によく届く書類を、差出人ごとに整理しました。書類の名前や時期は、国税庁・日本年金機構・法令などの公式の記載で確かめたものだけを載せています。都道府県や市区町村の書類は自治体ごとに違うため、くわしくは個別の記事と、自治体の案内で確かめてください。

税務署・都道府県・市区町村・年金事務所の4つの建物から、会社のポストに封筒が届く図

差出人ごとに見る

税務署(国税)

法人税・消費税・源泉所得税

確定申告の「申告のお知らせ」、消費税の中間申告書、源泉所得税の納付書(所得税徴収高計算書)など

都道府県

法人事業税・都道府県民税

申告や中間申告に関する書類。届く書類や時期は都道府県ごとに違う(東京都は都税事務所)

市区町村

法人の住民税・社長の住民税・償却資産

特別徴収税額の決定通知書(5月31日まで)、償却資産の申告書など

日本年金機構(年金事務所)

健康保険・厚生年金保険

毎月の保険料の納入告知書、算定基礎届の用紙(6月中旬から)、賞与支払届の用紙(支払予定月の前月)など

協会けんぽに入っている会社の場合です。社会保険の書類は、年金事務所のほか事務センターから届くこともあります。

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税務署から届くもの・届かないもの

確定申告:用紙ではなく「申告のお知らせ」

国税庁は、令和5年5月送付分(令和5年4月決算分)から、法人税と消費税の確定申告の 「申告書等用紙」の送付をやめ、代わりに確定申告書の提出期限や提出部数、中間申告分の法人税額などを書いた 「申告のお知らせ」 を送っています。

ここでいう申告書等用紙は、法人税では各種別表・勘定科目内訳明細書・法人事業概況説明書・適用額明細書、消費税では申告書・付表などです。税務署に問い合わせても用紙は送ってもらえないため、書面で出す場合は国税庁のホームページから様式を印刷します。e-Taxで出す場合は用紙はいりません。

よくある勘違い

申告書の用紙が届いていないから、まだ申告しなくていい?

用紙は、もともと送られてきません。法人税の申告期限は、事業年度が終わった日の翌日から2か月以内です(「法人税の申告期限」)。書類が届くかどうかで、期限は変わりません。

予定申告・中間申告

前の事業年度の法人税の確定申告を e-Taxで出した会社 には、法人税の予定申告書の用紙は送られず、e-Taxの メッセージボックス に「法人税の予定申告のお知らせ」が届きます。国税庁は、予定申告の法定申告期限の月の上旬に、予定申告と納税に必要な情報をメッセージボックスに入れると案内しています。

一方、消費税の中間申告書と納付書は、e-Taxでの申告が義務になっている大法人を除き、当分のあいだ送付を続けるとしています。そのため、消費税の中間申告書は届くのに、法人税の予定申告の納付書は届かない ことがあり、国税庁は法人税の予定申告分の納付忘れに注意するよう呼びかけています。中間申告がいるかどうかは「中間申告」で確かめられます。

納付書

国税庁は、次の会社には納付書を前もって送っていません。

  • e-Taxで申告書を出している会社
  • ダイレクト納付・インターネットバンキング・クレジットカード・スマホアプリ・コンビニ(QRコード)など、納付書を使わない方法で納めた会社

源泉所得税の徴収高計算書(納付書)は、引き続き送られています。役員報酬から差し引いた源泉所得税の納め方は「源泉所得税の納付期限」と「源泉所得税の納期の特例」にまとめています。税金の納め方は「国税の納付方法」でも比べています。

年金事務所(日本年金機構)から届くもの

社会保険に入っている会社には、日本年金機構から定期的に書類が届きます。

  • 毎月20日ごろ保険料の納入告知書(納付書)口座振替の会社には、納入告知額通知書。前月分を月末までに納める
  • 6月中旬から算定基礎届の用紙など7月1日〜10日に出す(算定基礎届)
  • 支払予定月の前月賞与支払届の用紙登録した賞与支払予定月に合わせて(賞与支払届)
  • 届出のあと決定通知書賞与支払届のあとの標準賞与額決定通知書など

日本年金機構の案内より。郵便の事情で遅れることがあります。

日本年金機構は、納入告知書が届かない場合は管轄の年金事務所に連絡して、再発行を頼むよう案内しています。保険料の納め方は「社会保険料の納付期限」にまとめています。

登録した賞与支払予定月に賞与を払わず、翌月までに賞与不支給報告書も出さなかった会社には、翌々月に催告状が送られます。

紙の代わりに電子で受け取る

日本年金機構の「オンライン事業所年金情報サービス」を使うと、社会保険料額情報、保険料納入告知額・領収済額通知書、決定通知書などを、e-Gov電子申請のマイページで電子データとして受け取れます。利用にはGビズIDか電子証明書が必要です。日本年金機構は、納入告知書が届く前に毎月の保険料額を確認できると案内しています。

市区町村・都道府県から届くもの

市区町村:特別徴収税額の決定通知書

役員報酬から源泉所得税を差し引いている会社には、社長の住民税を報酬から差し引いて納める 特別徴収 の通知が届きます。地方税法では、市町村長は特別徴収税額の通知を、その年の 5月31日まで にすることになっています(地方税法321条の4第2項)。通知は会社に届き、会社を通して本人(社長)にも渡す形です。

6月から翌年5月までの流れと、翌月10日の納付期限は「住民税の特別徴収」にまとめています。

市区町村:1月末が期限の書類

市区町村には、1月31日が期限の給与支払報告書や償却資産の申告書を出します。償却資産の申告書は市区町村から届きますが、届いたかどうかにかかわらず、出す必要があるかを確かめます。

都道府県:中間申告の案内など

都道府県(東京都は都税事務所)からは、法人事業税・都道府県民税の申告に関する書類が届くことがあります。中間申告の書類は、前の年の税額から見込んで送っているため、義務がない会社にも届く場合がある、と案内している県もあります(「中間申告」)。書類の種類や時期は都道府県ごとに違います。

会社を作ったときに出す都道府県・市区町村への届出は「都道府県・市町村への法人設立届」にまとめています。

本物かどうか不安なとき

役所を名乗る偽の連絡もあります。国税庁と日本年金機構は、次のように注意を呼びかけています。

国税庁(国税局・税務署)がしないこと

  • ショートメッセージ(SMS)でURLを書いた案内を送る
  • 税金の納付の求めや差押えについて、SMS・メール・LINEで送る
  • 還付や納付のためにATMの操作を求める、口座を指定して振込みを求める
  • アンケートなどと称して電話する

国税庁の文書の照会

税務署などが文書で照会するときは、原則として国税局・税務署・業務センターの名前が印字された封筒を使う

それ以外の封筒(ゆうパックなど)で届いたときや、心当たりのない文書は、最寄りの税務署の総務課などに問い合わせる

国税庁は、税務職員を名乗る電話で不審に思ったときは、その場で答えず、相手の所属・氏名・電話番号を確かめていったん切り、最寄りの税務署の総務課か国税局の納税者支援調整官に問い合わせるよう案内しています。実際に、国税局の名前を書いたゆうパックで「過度な節税」への懸念を書いた照会文書を送り、生命保険の契約内容を聞き出そうとした例が紹介されています。

日本年金機構も、機構や職員を装った不審な電話・メール・SMS、偽サイトに注意するよう呼びかけています。不審な電話で使われた名前として、「国民年金機構」「日本年金機構特別窓口」「保険年金事務所」「国民年金センター」「給付センター」が挙げられています。

  1. 差出人と書類の名前を見るどの役所の、どの手続きの書類か
  2. 期限を書き出す書類に書かれた期限を、カレンダーに書き写す
  3. 不安なら、自分で調べた番号に問い合わせる書類やメールに書かれた番号ではなく、役所の公式ページに載っている番号へ

自分の会社の1年の期限は、トップの「法人の期限チェッカー」や「決算月別の年間スケジュール」で一覧にできます。届いた書類と照らし合わせると、見落としに気づきやすくなります。

参考

この記事は一般的な情報です。会社ごとの判断は、税務署や税理士などの専門家に確認してください。