社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入している会社は、賞与を払ったときにも届出がいります。日本年金機構の案内では、標準賞与額の対象になる賞与に 役員賞与 も含まれています。社長1人の会社で、社長に賞与を払った場合も届出の対象です。
役員賞与を税金の計算で経費(損金)にするための税務署への届出は、別の手続きです。そちらは「事前確定届出給与の届出」にまとめています。この記事では、社会保険の届出だけを扱います。
届出がいる「賞与」とは
日本年金機構の案内では、賞与支払届の対象になる賞与は、名前にかかわらず、労働の対価として受け取るもののうち 年3回以下 で払われるものです。
賞与支払届の対象
- 賞与(役員賞与を含む)・ボーナス
- 期末手当・年末手当・夏(冬)季手当など
- 年3回以下で払われるもの
- 定期的でなくても一時的に払われるもの
賞与支払届の対象にならない
- 年4回以上払われるもの(毎月の報酬として標準報酬月額の対象)
- 結婚祝金など、労働の対価とみなされないもの
日本年金機構「従業員に賞与を支給したときの手続き」より。
よくある勘違い
税務署に事前確定届出をしたから、年金事務所への届出はいらない?
いります。事前確定届出は税金(法人税)のための税務署への届出で、賞与支払届は社会保険のための日本年金機構への届出です。役員賞与を払うときは、両方の手続きを考えます。
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期限は支給日から5日以内
日本年金機構の案内では、賞与支払届の提出時期は 「賞与支払日から5日以内」 です。
日数の数え方(支給日を1日目に数えるか)と、5日目が休日にあたったときに延びるかは、日本年金機構の案内には書かれていません。この記事では、遅い日付にならないよう、支給日を1日目として数え、休日でも延びない ものとして日付を示します。
- 12月10日(木)役員賞与を払うこの日を1日目として数える
- 12日・13日土曜日・日曜日日数には含めて数える
- 12月14日(月)賞与支払届を出す(遅くともこの日まで)5日目が休日でも、前に出しておく
- 翌月賞与の保険料が、毎月の保険料と合わせて通知されるその月の末日までに納める
2026年12月10日(木)に払った場合の例です。
賞与の保険料は、毎月の保険料と合算され、賞与を払った月の翌月の納入告知書(口座振替の場合は納入告知額通知書)で知らされます。月末までに納めます(口座振替なら月末に引き落とし)。毎月の保険料の流れは「社会保険料の納付期限」にまとめています。
標準賞与額と上限
賞与の保険料は、実際に払った賞与の額(税金などを差し引く前の総支給額)から 1,000円未満を切り捨てた額(標準賞与額)に、健康保険・厚生年金保険の保険料率をかけて計算します。保険料は会社と本人が半分ずつ負担し、本人の分は賞与から差し引けます。
標準賞与額には上限があります。
健康保険
年度の累計573万円年度は毎年4月1日から翌年3月31日まで
厚生年金保険
1か月150万円同じ月に2回以上払ったときは合算した額に上限をあてはめる
日本年金機構の案内による上限です。子ども・子育て拠出金も、厚生年金保険と同じく1か月150万円が上限です。
健康保険の累計573万円を超えたとき
日本年金機構の案内では、同じ年度のなかで被保険者の資格が途切れていない(転職などがない)場合は、累計が573万円を超えても申出書はいりません。573万円になるように、その月の標準賞与額が決められます。
年度の途中で資格を取ったり失ったりして、協会けんぽでの被保険者期間が複数ある場合などは、被保険者からの申し出にもとづいて「健康保険 標準賞与額累計申出書」を出します(電子申請・電子媒体では出せません)。健康保険組合に入っている会社は、届出のくわしい扱いを健康保険組合に確かめます。
同じ月に2回払ったとき
同じ月に2回以上賞与を払う場合は、その月の最後の賞与を払ったあとに、その月の分を合算して届け出ます。すでに届け出た月に追加で払ったときも、同じ月の分をすべて合算して届け出ます。
届出用紙と出し方
用紙は支払予定月の前月に届く
日本年金機構は、登録されている 賞与支払予定月の前月 に、被保険者の氏名や生年月日などを印字した賞与支払届の用紙を会社に送っています。賞与支払予定月は、社会保険に入るときの新規適用届などで登録されます(「社会保険の新規適用届」)。
用紙が手元になくても、日本年金機構のページから様式(PDF・エクセル)と記入例をダウンロードできます。以前あった「被保険者賞与支払届総括表」は、令和3年3月で廃止されています。
電子申請
e-Gov・届書作成プログラムなど
e-Govでは、GビズIDか電子証明書を使います
電子媒体
CD・DVD
「電子媒体届書総括票」は引き続き必要です
郵送
事務センターへ
都道府県ごとに送り先の事務センターが決まっています
窓口
管轄の年金事務所へ
会社の所在地を受け持つ年金事務所
日本年金機構の案内による提出方法です。添付書類はありません。
予定月に払わなかったとき
登録した賞与支払予定月に賞与を払わなかったときは、賞与支払届の代わりに 「賞与不支給報告書」 を出します。日本年金機構の案内では、予定月の翌月までに届出がない会社には、翌々月に催告状が送られます。
賞与を払う予定がなくなったときや、払う月が変わったときは、登録している支払予定月を年金事務所に確かめておくと、催告状が届くのを避けやすくなります。
出したあと
届出をもとに、日本年金機構から 標準賞与額決定通知書 などが送られてきます。決まった標準賞与額は本人に知らせることになっています(一人社長の会社では、社長が自分で確かめます)。払わなかった月は、決定通知書は送られません。
届出の内容は、賞与の保険料だけでなく、将来受け取る年金額の計算のもとにもなります。
参考
- 従業員に賞与を支給したときの手続き(日本年金機構)
- 賞与を支給したとき、賞与支払予定月に賞与が不支給のとき(日本年金機構)
- 厚生年金保険の保険料(日本年金機構)
- 保険料額表(令和2年9月分〜)(日本年金機構)
- 全国の事務センター一覧(日本年金機構)
- 電子申請(e-Gov)(日本年金機構)
この記事は一般的な情報です。会社ごとの判断は、税務署や税理士などの専門家に確認してください。