株式会社は、廃業を届けるだけではなくなりません。まず 解散 を決め、次に 清算(財産を現金にし、借金を払い、残りを株主に分ける作業)をして、最後に 清算結了の登記 をして終わります。
この記事は、社長1人が株主も兼ねる株式会社が、借金を払いきれる状態でたたむ場合(通常の清算)の流れです。払いきれないときは、破産など別の手続きになります。
解散から清算結了までの流れ
- 解散の日株主総会で解散を決める特別決議(会社法309条2項11号・471条3号)
- 2週間以内解散の登記と清算人の登記会社法926条・928条
- 遅滞なく債権者への官報公告と個別の催告申し出の期間は2か月以上(会社法499条)
- 2か月以内解散事業年度の確定申告解散の日の翌日から(法人税法74条1項)
- 1か月以内残余財産が確定した年度の確定申告確定の日の翌日から(法人税法74条2項)
- 清算事務の終了決算報告を株主総会で承認会社法507条
- 2週間以内清算結了の登記承認の日から(会社法929条1号)
申し出の期間の間は原則として借金を払えず(会社法500条1項)、払い終えるまで株主に財産を分けられません(同502条)。清算には少なくとも2か月以上かかります。
解散すると、清算の仕事をする 清算人 が置かれます。定款や株主総会で別の人を選ばなければ、取締役がそのまま清算人です(会社法478条1項1号)。一人社長の会社では、ふつうは社長です。
清算人は、解散のあと遅滞なく、財産目録と貸借対照表を作って株主総会の承認を受けます(会社法492条)。債権者への公告は 官報(国が出す公告用の新聞のようなもの)に出し、期間内に申し出がないと清算から除かれる旨を書き添えます(会社法499条)。官報の使い方は「決算公告」も参考にしてください。
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税金の申告:解散事業年度と清算中
解散すると、事業年度は定款の決算日を待たず 解散の日で終わります(法人税法14条1項1号)。
解散事業年度
2か月以内期の初日〜解散の日。解散の日の翌日から数える
清算事務年度
2か月以内解散の日の翌日から1年ごとの期間。毎年
残余財産が確定した年度
1か月以内最後の分配がその前なら、分配の日の前日まで
法人税法74条1項・2項、法人税基本通達1-2-9によります。消費税の課税事業者なら、消費税にも同じ1か月の決まりがあります(消費税法45条4項)。
清算中の事業年度は、定款の事業年度ではなく、会社法の 清算事務年度 になると国税庁の通達にあります。残余財産(借金などを払い終えて残る財産)が確定した年度は期限が1か月に短くなり、申告期限の延長の特例(法人税法75条の2)も使えません。
よくある勘違い
解散した年の申告は、定款の決算月が来てからでいい?
いいえ。事業年度は解散の日で区切られ、そこから2か月以内に申告があります。決算月を待つと期限を過ぎることがあります。
国税の申告期限が土日祝日や年末年始にあたれば、次の平日に延びます(「期限が土日祝日にあたったら」)。
税務署と年金事務所への届出
税務署
異動届出書:速やかに
解散したとき・清算結了したとき。異動前の納税地の税務署へ。e-Taxか書面
税務署
事業廃止届出書:速やかに
消費税の課税事業者が事業を廃止したとき
年金事務所
適用事業所全喪届:5日以内
社会保険に入っている会社が解散したとき。電子申請・郵送・窓口
国税庁の手続きの案内(C1-8・A2-7・D1-14)と日本年金機構の案内によります。
国税庁の案内では、異動届出書の「消費税」の欄にしるしを付ければ、消費税の異動届出書を重ねて出さなくてよいとされています。事業廃止届出書を出すと、インボイスの登録は事業を廃止した日の翌日に効力を失います。
全喪届には、原則として 解散の登記が載った登記事項証明書のコピー を付けます(雇用保険の適用事業所廃止届の事業主控のコピーでも可)。解散の登記を先に済ませるとそろえやすくなります(「登記事項証明書の取り方」)。
登記の2週間や全喪届の5日が休日でどうなるかは、公式の案内で確かめられませんでした。休日にかかりそうなら前の平日までに出し、日数は解散の日を1日目として数えておくと安心です。
都道府県・市区町村(法人住民税・事業税)の届出と申告は自治体ごとの案内によるため、本店のある都道府県税事務所と市区町村で確かめてください。
登録免許税と、終わったあとの保存
登録免許税は、解散の登記が1件3万円、清算人の登記が1件9千円、清算結了の登記が1件2千円です(登録免許税法 別表第一 第24号)。
清算結了の登記のあとも、清算人は会社の帳簿と重要な資料を 10年間 保存します(会社法508条1項)。
たたまずに休ませておく場合も、最後の登記から12年たつと みなし解散 の対象になります(「みなし解散の通知が来たら」)。休眠中も取締役の任期が来れば 重任の登記 がいります。
参考
- 会社法(e-Gov法令検索)
- 法人税法(e-Gov法令検索)
- 消費税法(e-Gov法令検索)
- 登録免許税法(e-Gov法令検索)
- 法人税基本通達 第1章第2節 事業年度(国税庁)
- C1-8 異動事項に関する届出(国税庁)
- A2-7 給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出(国税庁)
- D1-14 事業廃止届出手続(国税庁)
- 事業の廃止や法人の合併による消滅があった場合の手続(国税庁のQ&A 問14)
- 適用事業所が廃止等により適用事業所に該当しなくなったときの手続き(日本年金機構)
この記事は一般的な情報です。会社ごとの判断は、税務署や税理士などの専門家に確認してください。