銀行で法人の口座を作るとき、補助金や取引先との契約のときなどに、会社の「履歴事項全部証明書」や「印鑑証明書」を求められることがあります。どちらも法務局(登記所)が出す証明書で、窓口・郵送・オンラインのどれでも請求できます。

ここでは、証明書の違い、手数料、印鑑カードと電子証明書のことを、法令と法務省の登記・供託オンライン申請システムの案内をもとに整理します。

法務局の建物から、書類と印鑑の証明書が窓口・封筒・パソコンの3つの道で届く様子を表した図

2つの証明書の違い

「履歴事項全部証明書」は、登記簿に記録されている会社の情報を証明する 登記事項証明書 の一種です。「印鑑証明書」は、会社の代表者が法務局に届け出た印鑑(いわゆる会社の実印)を証明するものです。

履歴事項全部証明書

  • 商号・本店・目的・資本金・役員などの登記の内容
  • だれでも 手数料を納めれば請求できる(商業登記法10条)
  • 本店のある法務局でなくても請求できる(同条2項。法務省令で定める場合を除く)

印鑑証明書(会社の代表者の印鑑)

  • 法務局に届け出た印鑑を証明する
  • 請求できるのは、印鑑を届け出た人(商業登記法12条)
  • 窓口で請求するときは 印鑑カード を見せる(商業登記規則22条2項)

登記事項証明書の種類

商業登記規則30条では、会社の登記事項証明書を「現在事項証明書」「履歴事項証明書」「閉鎖事項証明書」「代表者事項証明書」の4つに分けています。履歴事項証明書 は、いま効力のある事項に加えて、請求した日の 3年前の日の属する年の1月1日 から請求日までに抹消されたり効力を失ったりした事項も載るものです。

「全部」は、登記記録のすべての区(商号の区、役員の区など)を載せたものという意味です(一部の区だけも請求できます)。どれを出せばよいか迷ったら、提出先に確かめます。

手数料と取り方を比べる

手数料は登記手数料令で決まっています。書面で請求するときと、オンラインで請求するときで額が違います。

窓口で請求

登記事項証明書 600円/通
印鑑証明書 500円/件

受け取り:法務局の窓口

準備:請求書、手数料分の収入印紙。印鑑証明書は印鑑カード

郵送で請求

登記事項証明書 600円/通
印鑑証明書 500円/件

受け取り:郵便で届く

準備:請求書、収入印紙、送り返してもらうための郵便切手(送付に要する費用)。印鑑証明書の印鑑カードの扱いは法務局に確かめる

オンラインで請求

登記事項証明書 520円(送付)・490円(窓口受取)
印鑑証明書 450円(送付)・420円(窓口受取)

受け取り:郵送か、選んだ法務局の窓口

準備:申請者情報の登録、電子納付ができる口座。印鑑証明書は電子証明書と印鑑カード番号

登記手数料令2条・3条・10条によります。登記事項証明書は1通50枚までの額です。書留などで送ってもらうときは、その料金が加わります。

書面で請求するときの納め方

書面で請求するときの手数料は、収入印紙を請求書に貼って 納めます(商業登記法13条2項、商業登記規則28条1項)。送ってもらうときは、送付に要する費用を郵便切手などで納めます(商業登記規則28条2項)。

オンラインで請求するときの納め方

オンラインで請求したときは、受け取り方が郵送でも窓口でも、納め方は電子納付だけ です(登記・供託オンライン申請システムのよくある質問)。インターネットバンキングや、電子納付に対応したATM(ペイジー)で納めます。電子納付で納めた手数料には領収証書が発行されないので、納付の記録を残しておきます。

よくある勘違い

オンラインで請求すれば、証明書がPDFで届く?

会社の登記事項証明書と印鑑証明書は、オンラインで請求しても、郵送か窓口で受け取る 形です(システムの手続の案内では「送付又は窓口交付」)。内容を確かめたいだけなら、登記情報提供サービスという別のサービスもあります。

印鑑カードと電子証明書

印鑑カード

印鑑カードは、法務局に印鑑を届け出た人が請求すると交付される、磁気帯つきのカードです(商業登記規則9条の4、9条の5)。印鑑証明書を請求するときに、次のように使います。

書面で請求

請求書を出すときに 印鑑カードを提示 する(商業登記規則22条2項)

オンラインで請求(送付)

請求の情報に 印鑑カード番号 と送付先の住所を入れる(商業登記規則107条1項5号)

オンラインで請求(窓口受取)

印鑑カード番号を入れて請求し、受け取るときに 法務大臣の定める事項を申告して印鑑カードを提示 する(同条1項3号・6項)

代表者が替わるときは、新しく印鑑を出す人が、前の人の印鑑カードを引き継いで使うこともできます(商業登記規則9条の4第3項)。

オンラインで印鑑証明書を請求するときの電子証明書

登記・供託オンライン申請システムの手続の案内では、電子署名がいるかどうかが手続ごとに書かれています。

  • 登記事項証明書の交付請求:電子署名は 不要
  • 印鑑証明書の交付請求:電子署名は 必須

電子署名をするには、電子証明書が必要です。システムの「利用可能な電子証明書」のページでは、手続ごとに使える電子証明書の種類を確かめるよう案内していて、発行する認証機関として、商業登記に基づく電子認証制度を運営する電子認証登記所や、マイナンバーカードの公的個人認証サービスなどを挙げています。申し込む前に、印鑑証明書の交付請求で自分の電子証明書が使えるかを、そのページから確かめます。会社の電子証明書(商業登記電子証明書)のことは「商業登記電子証明書とは」にまとめています。

オンラインで請求する流れ

令和8年2月2日から、それまでの「かんたん証明書請求」は「かんたん登記・供託申請」に変わりました。以前の申請者IDは、そのまま使えます(システムのよくある質問)。

  1. 申請者情報を登録する申請者IDとパスワードを作る
  2. かんたん登記・供託申請で請求する会社の商号・本店、証明書の種類と通数、受け取り方(郵送か窓口)を入れる印鑑証明書は、電子署名と印鑑カード番号も
  3. 電子納付で手数料を納める処理状況の画面に出る納付情報を使って納める
  4. 受け取る法務局で納付が確かめられてから発行される。届くまでの時間は納付のタイミングで変わる

システムの利用時間は、平日が8時30分から23時まで、休日が8時30分から18時までです(12月29日から1月3日までの年末年始を除く)。メンテナンスなどで止まることもあるので、急ぐときは早めに請求します。法人口座の申し込みの準備は「法人口座の審査で見られること」にまとめています。

参考

この記事は一般的な情報です。会社ごとの判断は、税務署や税理士などの専門家に確認してください。