社長1人の会社は、取引の数が少なければ、決算と申告を自分で行うこともできます。会計ソフトに銀行やカードの明細を取り込み、仕訳はAIに手伝ってもらえば、手作業はかなり減らせます。
この連載では、一人社長が自分で決算をする流れを、順番に説明します。運営者自身がマネーフォワード クラウド会計とAI(Claude)を使って、自分の会社の決算をした流れも紹介します(会社名・金額・番号は伏せています)。
決算と申告の全体の流れ
- 1年分の仕訳をそろえる銀行・カードの明細、領収書、請求書を会計ソフトに入れる
- 決算整理期末の時点で、まだ払っていない費用・まだ入っていない売上・減価償却などを整える
- 決算書を作る貸借対照表・損益計算書など
- 株主総会で決算を承認する一人社長でも議事録を作る
- 法人税・地方税の申告書を作る別表、勘定科目内訳明細書、法人事業概況説明書など
- 申告と納付e-Tax・eLTAXで出し、期限までに納める期限は、期末の翌日から2か月以内
- 決算公告株式会社の場合。総会が終わったら遅滞なく
決算月ごとの申告と納付の期限の日付は「決算月別の年間スケジュール」で確認できます。
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自分でやりやすい会社・難しくなるところ
自分で決算をしやすい会社
- 取引の数が少ない(売上の入金先や、経費の支払先が限られている)
- 従業員がいない(給与計算・社会保険の手続きが社長の分だけ)
- 在庫を持たない(棚卸の計算がいらない)
- 借入や複雑な契約がない
- 消費税の免税事業者、または簡易課税
知識や判断が必要なところ
- 法人税の申告書(別表):会計の利益から、税金の計算のための所得を出す書類。会計ソフトだけでは作れないことが多い
- 判断がいる仕訳:自宅を事務所にしている分の按分、社長と会社のお金の貸し借り、消費税の区分など
- 減価償却と少額の資産の扱い:どの方法で経費にするかで、その年の税金が変わる
- 役員報酬・役員賞与の扱い:決まりどおりでないと、経費にならない(役員報酬を決める・変える時期)
アプリやWebサービスの売上、コンサルティング、執筆など、一人で行う事業の多くは「自分で決算をしやすい会社」にあてはまります。
自分でやる・頼むの分け方
全部を自分でやるか、全部を税理士に頼むか、の二択ではありません。
全部自分でやる
費用がいちばん少ない。そのぶん、調べる時間と、間違えたときの責任は自分にある
仕訳は自分、申告書は税理士
帳簿は自分で整え、決算整理の確認と申告書の作成を頼む。「決算だけ」を引き受ける税理士・サービスがある
全部頼む(顧問契約)
毎月の帳簿から任せる。費用はいちばんかかる
はじめての決算は、仕訳まで自分で進めて、申告書だけ頼む形にすると安心です。決算だけ頼める税理士・サービスは「決算だけ頼める税理士・サービス」にまとめています。
始める前に用意するもの
- 会計ソフト:銀行・カードと連携できるクラウド会計が便利(「自分で決算するための会計ソフトの選び方」)
- 1年分の資料:通帳(またはネットバンキングの明細)、カードの明細、領収書、請求書、売上の明細(App Store・広告などの支払明細をふくむ)
- 前の期の申告書の控え(2期目以降)
- 電子申告の準備:利用者識別番号、eLTAXの利用者ID、代表者のマイナンバーカード(「はじめての電子申告の準備」)
この連載で書くこと
- 一人社長は自分で決算できる?(この記事)
- 自分で決算するための会計ソフトの選び方
- 1年分の仕訳をAIに手伝ってもらう
- 一人社長によくある仕訳
- 決算整理でやること
- 決算書と株主総会の議事録
- 法人税の申告書(別表)を作る流れ(12月公開予定)
- 勘定科目内訳明細書と法人事業概況説明書(12月公開予定)
- e-Taxで出す手順(12月公開予定)
- eLTAXで出す手順と納付(12月公開予定)
この記事は一般的な情報です。会社ごとの判断は、税務署や税理士などの専門家に確認してください。