一人社長の会社の仕訳は、取引の種類がそれほど多くありません。よく出てくる場面を押さえておくと、AIに仕訳を手伝ってもらうときも、確かめるときも楽になります。

ここでは、一般的な仕訳の例を、場面ごとに紹介します。勘定科目の名前は会計ソフトによって少し違うことがあります。

役員報酬を払う

役員報酬は、所得税(源泉所得税)や社会保険料を差し引いて振り込みます。差し引いた分は、会社が預かっているお金として「預り金」にします。

借方 貸方
役員報酬(支給額) 普通預金(振り込んだ額)
預り金(源泉所得税)
預り金(社会保険料の本人負担分)

役員報酬を払うときの仕訳で、借方の役員報酬が貸方の普通預金と2つの預り金に分かれることを示した図

預かった源泉所得税を税務署に納めたときは、「預り金」を減らします(「源泉所得税の納期の特例」)。

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社会保険料を納める

毎月の社会保険料は、口座から引き落とされます。本人負担分は「預り金」、会社負担分は「法定福利費」です。

借方 貸方
預り金(本人負担分) 普通預金
法定福利費(会社負担分)

社長が個人で立て替えた経費

社長個人のカードや現金で、会社の経費を払うことがあります。会社が社長にあとで返すお金なので、「未払金」や「役員借入金」として記録します。

借方 貸方
(経費の勘定科目) 未払金(または役員借入金)

あとで会社の口座から社長に返したら、未払金を減らします。立て替えが多い場合は、月ごとにまとめて精算すると、帳簿がすっきりします。

社長と会社のお金の貸し借り

社長が会社にお金を入れた

役員借入金会社が社長から借りている

会社が社長にお金を渡した(給与以外)

役員貸付金会社が社長に貸している

役員貸付金が残っていると、利息の扱いなど税金の問題が出ることがあります。会社のお金を個人のために使うのは避け、残ったら早めに精算します。

手数料が引かれて入金される売上

アプリの売上や広告収入、決済サービスの売上は、手数料を差し引いて振り込まれることが多いです。帳簿では、売上を手数料を引く前の額で記録し、手数料を経費にします。

借方 貸方
普通預金(入金額) 売上高(手数料を引く前の額)
支払手数料(手数料)

売上が確定した月と、入金される月がずれる場合は、売上が確定した時点で「売掛金」にしておき、入金時に売掛金を減らします。特に期末をまたぐ売上は、決算整理で必ず確かめます(「決算整理でやること」)。

毎月の固定費

サーバー代・ソフトの利用料

通信費、支払手数料、ソフトウェア利用料など(会社で決めた科目にそろえる)

携帯電話・インターネット

通信費

事務所・シェアオフィスの利用料

地代家賃(または賃借料)

会計ソフト

支払手数料など

同じ支払先は、毎回同じ勘定科目にそろえることが大事です。会計ソフトの自動仕訳のルールに登録しておきます。

迷いやすいもの

自宅の一部を事務所にしている

会社が家賃を払う契約があるか、どのくらいの割合を仕事に使っているかで扱いが変わる

仕事と私用が混ざる支払い

携帯電話、車、食事など。仕事に使った分の根拠を残しておく

10万円以上のものを買った

その年に全部経費にできるとは限らない(償却資産申告 でもふれています)

海外のサービスへの支払い

消費税の区分が国内の取引と違うことがある

迷ったものは、決算の前にまとめて税理士に確認すると安心です。

連載の全体は「一人社長は自分で決算できる?」にあります。

この記事は一般的な情報です。会社ごとの判断は、税理士などの専門家に確認してください。