インボイス(適格請求書)は、売手が買手に、正しい税率や消費税額を伝えるための請求書や納品書などです。国税庁の案内では、インボイスを出せるのは、税務署長の登録を受けた 適格請求書発行事業者(インボイス発行事業者)だけとされています。
この記事では、登録する・しないで何が変わるのかと、登録の申請の流れをまとめます。どちらを選ぶかは会社ごとの事情によるので、ここでは事実の違いだけを並べます。
登録する・しないで変わること
まず、登録したときと、しないときの違いを並べます。
登録する
- インボイスを出せる。登録番号は 「T」+法人番号(13桁)
- 登録番号や名称などが「国税庁適格請求書発行事業者公表サイト」で公表される
- 基準期間の課税売上高にかかわらず、消費税の申告と納付が必要
- 取引の相手(課税事業者)に求められたらインボイスを出し、その写しを保存する
登録しない
- インボイスは出せない
- 消費税を納めるかどうかは、これまでどおり売上などで判定する
- 買手は、インボイス発行事業者以外からの仕入れの消費税を、原則として差し引けない
- ただし令和13年9月30日までは、一定の割合を差し引ける経過措置がある
国税庁「No.6498 適格請求書等保存方式(インボイス制度)」の内容を並べたものです。
買手が差し引く「仕入れの消費税」は、仕入税額控除 と呼ばれます。インボイス制度では、決まった事項を書いた帳簿とインボイスなどを保存していることが、仕入税額控除の条件です。取引先が登録番号を確かめるのは、このためです。
免税事業者のままでいられるかどうかは、2期前の売上などで毎期判定します。判定のしかたは「消費税の納税義務の判定」にまとめています。
登録したあとの負担を軽くする決まり
免税事業者からインボイス発行事業者になった会社には、次のような決まりもあります。
- 2割特例:売上にかかる消費税額の2割を納める額にできる特例。法人は、令和8年9月30日を含む課税期間まで(「2割特例はいつまで使える?」)
- 簡易課税の届出の特例:登録を受けた日を含む課税期間中に「消費税簡易課税制度選択届出書」を出せば、その期から簡易課税を使える(「簡易課税制度選択届出書の出し方」)
なお、国税庁の案内では、免税事業者が登録を受けた場合、原則として 登録を受けた日から2年間 は消費税の申告が必要で、途中で登録を取りやめても同じだとしています。
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登録の申請の手順
登録の申請は、e-Tax(国税電子申告・納税システム)でできます。国税庁は、質問に答えていく「問答形式」で作れる e-Taxソフト(WEB版) での申請を案内しています。
- e-Taxの準備をする会社の電子証明書と、利用者識別番号(e-Taxで使う16桁の番号)を用意するe-Taxの準備は「電子申告の準備」も参考に
- パソコンから申請書を作って送るe-Taxソフト(WEB版)の「法人の方」から入るスマホ・タブレットで申請できるのは、国内の個人事業者だけです
- 免税事業者なら、登録希望日を書く提出日から15日以降の日を、登録を受けたい日として書ける
- 登録の通知を受け取るe-Taxで申請すると、メッセージボックスに登録通知のデータが届く通知までの平均的な期間は、国税庁のサイトに載っています
- 登録番号を請求書に入れる公表サイトで、自分の会社が載っているかも確かめておく
書面の申請書を郵送することもできます。送り先は税務署ではなく、納税地を管轄する国税局の「業務センター」です。
登録日はいつになる?「15日」の決まり
登録の効力は、原則として 税務署長が登録をした日 から生じます。ただ、免税事業者の会社は、登録を受けたい日を自分で選べる決まりがあります。
- 期の途中から登録希望日を書いて申請する登録希望日は、申請書の提出日から15日以降の日
- 次の期の初日から登録を受けたい期の初日から数えて15日前の日までに出す国税庁の例:令和6年2月1日から登録を受けたいなら、1月17日までに提出
- 新しく作った会社その期の末日までに申請すれば、期の初日にさかのぼって登録を受けられる
国税庁「適格請求書発行事業者の登録申請手続(国内事業者用)」「インボイス発行事業者登録申請手続」から。
たとえば10月決算(11月1日に期が始まる)の会社が、2027年11月1日から登録を受けたいときは、11月1日から数えて15日前の日である 2027年10月17日 までに出します。この日は日曜日です。期限が休日にあたった場合の扱いは、この手続の案内には書かれていないため、前の平日までに出しておくと迷いません。e-Taxなら、メンテナンスの時間を除いて休日も送れます(「期限が土日祝日にあたったら」)。
よくある勘違い
申請した日から、すぐにインボイスを出せる?
登録の効力は、税務署長が登録をした日(免税事業者が登録希望日を書いた場合はその日)からです。申請した日ではありません。登録番号は通知で分かるので、通知が届くまでの請求書の扱いは、国税庁のQ&A(問36)で確かめておきます。
登録をやめるとき
登録を取りやめるときは、「適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書」を出します。
登録の取消しを求める旨の届出書
やめたい期の初日から数えて15日前の日まで
間に合えば、届出書を出した期の次の期の初日に登録の効力がなくなる。過ぎると、その次の期(翌々期)の初日から
事業をやめた場合は「事業廃止届出書」など、別の手続になります。
登録をやめても、免税事業者に戻れるかどうかは、それまでの売上や、登録から2年の決まりによります。
自社の手続の期限は、トップの「法人の期限チェッカー」で、決算月を選ぶと一覧にできます。
参考
- No.6498 適格請求書等保存方式(インボイス制度)(国税庁)
- 適格請求書発行事業者の登録申請手続(国内事業者用)(国税庁)
- インボイス発行事業者登録申請手続(国税庁)
- 適格請求書発行事業者の登録の取消届出手続(国税庁)
- 登録番号とは(国税庁適格請求書発行事業者公表サイト)
- e-Taxの利用可能時間(e-Tax)
この記事は一般的な情報です。会社ごとの判断は、税務署や税理士などの専門家に確認してください。