「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」(以下、扶養控除等申告書)は、給与を受け取る人が、扶養控除などを毎月の源泉徴収や年末調整に反映してもらうために、勤め先に出す書類です。

一人社長の会社では、社長が 書く人(給与を受け取る人) で、会社として 受け取って保管する側 も社長です。年に一度、年末調整の時期にあわせて翌年分を書いておくと忘れません。

1年のカレンダーの初めに申告書を書き、会社の棚にしまう流れの図

扶養する家族がいなくても出す

国税庁の手続の案内では、国内で給与を受け取る居住者は、配偶者や扶養親族がいるかどうかにかかわらず、原則としてこの申告をしなければならない としています。役員報酬も給与なので、社長自身も対象です。

この様式は、個人住民税の「給与所得者の扶養親族申告書」と一つになっています。

書く人

給与(役員報酬)を受け取る人。一人社長なら社長本人

出す先

給与を払う会社。税務署・市区町村には出さない(求められたときだけ出す)

保管

会社が、提出期限の年の翌年1月10日の翌日から 7年間

国税庁「A2-1 給与所得者の扶養控除等の(異動)申告」と No.2503 によります。

社長がほかの会社の役員も兼ねているなど、給与を2か所以上から受け取っている場合は、扶養控除等申告書を出せるのはそのうち1か所だけです。国税庁 No.2503 の一覧には、別の様式の「従たる給与についての扶養控除等(異動)申告書」もあります。2か所目の会社に出すものの書き方は、国税庁の案内で確かめてください。

また、国税庁の案内では、日雇いの賃金などで税額表の「丙欄」を使う人は、この申告書を出す必要がないとしています。

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いつまでに出すか

  • 12月ごろ翌年分を書いておく年末調整の書類と一緒に準備すると忘れにくい。令和9年(2027年)分の様式は、国税庁のページに出ています
  • 最初の報酬の前日その年の扶養控除等申告書の提出期限年の途中で就職した場合は、就職後最初の給与を受け取る日の前日
  • 年の途中内容が変わったら異動申告書結婚や家族の増減など。変わった日のあと、最初に給与を受け取る日の前日まで
  • 7年間会社で保管提出期限の年の翌年1月10日の翌日から

提出期限は、毎年の「最初の役員報酬の支払日」から決まります。支払日が1月25日なら、1月24日までです。

会社をつくった年は

国税庁の案内では、年の途中で就職した場合の提出期限は、就職後最初の給与を受け取る日の前日 です。会社を設立して、その年の途中から役員報酬を受け取り始めた社長も、最初の報酬の支払日の前日までに、その年分を書いておきます。役員報酬の決め方は「役員報酬の決め方」にまとめています。

よくある勘違い

一度出せば、次の年からは出さなくていい?

扶養控除等申告書は 年ごと の書類で、毎年その年の最初の給与の前日までに出します。前の年に出した内容から変わらない場合は、変わらないことを書いて出す「簡易な申告書」にでき、国税庁はそのための様式(簡易対応様式)も用意しています。それでも、毎年出すこと自体は変わりません。

出していないとどうなるか

扶養控除等申告書は、毎月の源泉徴収と年末調整の両方のもとになります。

出している

  • 毎月の源泉徴収は、税額表の 甲欄
  • 12月に 年末調整 を受けられる

出していない

  • 毎月の源泉徴収は、税額表の 乙欄
  • 年末調整の対象にならない

国税庁 No.2511(税額表の種類と使い方)と No.2665(年末調整の対象となる人)によります。

国税庁 No.2665 では、年末調整の対象になるのは、扶養控除等申告書を年末調整をする日までに出している人としています。出し忘れていた場合は、年末調整の前に、まず申告書をそろえておきましょう。年末調整の流れは「一人社長の年末調整」にまとめています。

年末調整を受けない場合に社長個人の確定申告が要るかは、「役員報酬をもらう社長は、個人の確定申告が必要?」を見てください。

年末調整で出すほかの申告書との違い

年末調整の時期には、扶養控除等申告書のほかにも、社長が自分で書いて会社に出す申告書があります。国税庁 No.2503 では、会社が保存する申告書として、次のようなものを挙げています。

  • 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
  • 給与所得者の基礎控除申告書・配偶者控除等申告書・所得金額調整控除申告書
  • 給与所得者の保険料控除申告書

このうち扶養控除等申告書は、翌年(これから始まる年)の分 を、その年の最初の給与の前日までに出すものです。ほかの申告書は、年末調整をする その年の分 の控除のために出します。12月に「今年の分の年末調整の書類」と「来年分の扶養控除等申告書」を一緒にそろえておくと、出し忘れを防げます。どれも税務署には出さず、会社で同じように保存します。

書くときに見るもの

国税庁の手続の案内のページに、年分ごとの様式と 記載例 が載っています。2026年11月時点では、令和8年分と令和9年分の両方があります。書く年の分を選んで、記載例を見ながら書くと安心です。

扶養親族などの所得の要件は、税制改正で変わることがあります。国税庁の簡易な申告書のFAQ(令和9年分以後の取扱い)では、扶養親族を「その年中の所得の見積額が62万円以下の人」としています。前の年と同じつもりで書かず、その年分の様式で確かめましょう。

国外に住む親族について扶養控除などを受ける場合は、親族関係書類などを添える必要があります。くわしくは国税庁の案内を見てください。

参考

この記事は一般的な情報です。会社ごとの判断は、税務署や税理士などの専門家に確認してください。